2022.11.13

動物が狭い場所に閉じ込められているのを見るのが嫌いで、当然ペットショップも苦手なのだが、今日は犬の吠える声につい吸い寄せられて入ってしまった。近所の店だ。いろんな種類の犬や猫が狭いスペースに押し込められているのを眺める……吠えていたのは白黒のボーダーコリーだった。ケージの中で落ち着きなく飛び跳ねている。近くでかわいいね、元気だねなどと話しかけていると目敏い店員さんが抱っこしてみますか?と言ってきた。お金もペット可の物件も持っていないことに気まずさをおぼえたが、その蠱惑的な提案に抗えるわけもなく、わたしは膝にボーダーコリーを抱いた。かれはわたしの膝の上で大人しくしていた。人間よりも少し高い体温はなまなましく、長い毛はやわらかだった。ふたたびケージに引き上げられる際に、わたしのコートの袖を噛む仕草がかわいらしかった。かれが狭いケージに閉じ込められているのをもうこれ以上見たくなくてわたしは足早に店を出た。ものすごく落ち込んだ。動物倫理にはあまり詳しくないが、やはり生体販売は禁止したほうがいいと思った。ふわふわのボーダーコリーの子犬よ!どうかいい人に飼われてほしい。