2022.12.21

いつものようにバイトに出勤して、出版物を製本したり封筒にラベルを貼ったりなどしつつ、ふと社員のふたりの会話に耳を傾けると、作業をしながら年末の特番について話している。

「去年だっけ、『笑ってはいけない』って終わったよね?」

「終わりましたね」

「内輪ネタがキツかったし、潮時だったのかもね」

「年末って、紅白と、RISINと、他に何の番組がありましたっけ…」

わたしはそれを聞きながら心臓の鼓動が嫌に早まっていくのを感じていた。理由はうまく言えないが(今流行りの言い方をすると「言語化」できていないが)、わたしはどうも年末年始の雰囲気が苦手だ。物心ついた時からずっとそうで、実家にいた時は「あけましておめでとう」というのを渋り、母親に怪訝な顔をされたことがある。大晦日のカウントダウンも嫌。新しい年になった瞬間に、飛ぶとか、好きな人にラインするとかそういうのもゾッとする。日付が変わるときに絶対に起きていたくなくて、睡眠薬を多めに飲むとか、炭水化物を大量に摂取して気絶するとか、救急搬送されないギリギリのラインで昏倒できる方法を真面目に検討しているほどだ。

てか大体さ、マジで、初日の出とかってなんなんだよ。暁はどんな日でもきれいだよ。日が昇ってしばらくすると、街がグレーがかった水色のようななんともいえない色になる時間があって、わたしはそれをいつも、友達と早朝まで深酒したあととか、部屋に泊めた人が始発のために出ていったあととかに見ているよ。日の出の時間って、さみしいんだよ。初日の出をご来光がどうとかいって有難がっているやつらはどうせ、そういうことを知らない、感性を他人とか世間の常識とかに依存したクソバカばっかりだ。大晦日も正月もクソバカうんこイベントだよ。

よいお年をなんて絶対に言ってやらねえぞ。わたしは毎日お前らのために、よい一日を、って祈ってるから。祈ることは、決められたある日に、わざわざしゃちこばってやることじゃねえ。